男性型脱毛症 / AGA(Androgenetic Alopecia)
症状:前頭部や頭頂部がうぶ毛化
原因:男性ホルモン、遺伝
対処:プロペシア、ロゲイン、自毛植毛
男性型脱毛症は成人男性に多く、加齢と共に前頭部の生え際や頭頂部のつむじ付近の毛髪が減少していくことをいいます。これは老化現象であり、普通は病気としてはみなしません。男性ホルモンによって生まれる「DHT(ジヒドロ・テストステロン)」という物質が毛髪の成長を妨げて毛髪が細くなったり、ヘアサイクルが延びて生えにくくなったりして、結果としてうぶ毛しか形成されなくなってハゲて見えるのです。 側頭部や後頭部は男性ホルモンの影響を受けないため、男性型脱毛症にはなりません。男性型脱毛症は、早ければ10代後半から始まることもあります。
男性型脱毛症は頭髪の軟短毛化が主体で完全な脱毛に至ることはあまりありません。それは、毛髪が全く見られない完全な脱毛と違い、改善の余地があるということの裏づけとなります。
かみそりなどで毛を剃ったあとに生えてくる毛は一時的には濃く見えますが、本当に髪が太くなるわけではありません。
とちらかというと女性向けの話題かもしれませんが、「体毛は剃ると濃くなる」という迷信があります。これは、女性がわき毛や脚、胸の毛をむだ毛といって処理するときにいわれることです。でも、剃ることで本当に濃くなるなら、男性で頭髪を剃って濃くしよう、と思う人が増えるかもしれませんね。
これは最初の見かけだけの話です。何もしないで生えたままにしておけば、毛は先端に向かって細く軟らかくなっていますが、安全かみそりなどで根元の太い部分をカットすると断面の面積が大きくなり、一時的に太く濃くなって見えるのです。これもヘアサイクルが一順して生え変わるとまたもとの太さに戻ります。
「赤ちゃんの髪の毛を剃ると濃い髪が生える」という説もありますが、これも先の細い軟らかい毛が一時的に太くなって見えるだけで、毛をつくるもとの部分にはたらきかけるわけではありません。
★体毛にまつわる噂の真相
■「ひげを剃ると濃くなる」
ひげが生えはじめるのは思春期の頃。男性ホルモンの影響でしだいに濃くなるときに剃りはじめるので、剃るたびに濃くなると考えられているかもしれないが、これは当たり前だが、剃っても剃らなくても濃くなる
■「Hな人ほど髪が早く伸びる」
「毛深い(髪も早く伸びる)=男性ホルモンが多い=性欲が強い」という図式からこのような迷信が生まれているが、髪の毛の生えるスピードに影響するのはむしろ女性ホルモン。どちらにしても、あまり根拠はない迷信。
■「頭皮マッサージで毛が生える」
育毛サロン、育毛剤の使用法では、さも頭皮をマッサージすると毛が生えてくるかのような表現がされているが、いったんミニチュア化した毛包からふたたび太く固い毛が生えはじめる。ということはない。「ビデオスコープ」で頭皮をアップにして見せ、「あなたは薄毛になりやすい」などというのも医学的根拠のないセールストークの一種。頭皮マッサージは一時的には頭皮の血行を改善はするが、むしろストレスケアと、清潔な頭皮づくりのため、という程度に考えたほうがいい。
白髪とAGAは別の仕組みで起こります。髪の多い人が白髪になると目立つので、生まれた迷信です。
男性型脱毛症=AGA発症の大きな誘因は「男性ホルモン」「加齢」「遺伝的素因」です。とくにテストステロンが、毛乳頭にある酵素のはたらきで脱毛指令を出す成分に変わる、ということがAGAのしくみですが、これは髪の毛が黒くても白くても変わらずに起こる現象です。
「白髪の人はハゲない」という迷信は、フサフサとした毛が白髪だと目立つことからきているのではないかと思います。逆に男性型の脱毛が進んでいると、白髪増えてもわかりにくい、という面もあるでしょう。
ちなみに「白髪を抜くと白髪が増える」というのも、医学的には根拠のない迷信のひとつです。髪の色をつくるメラノサイトという細胞が機能しなくなって髪が白くなるので、白髪を抜いてもその毛包から生えるのはやはり白髪ですし、抜くことで本数が増えることもありません。
■白髪にまつわる噂の真相
●「白髪の人はハゲない」
髪の毛の色が白くても黒くても、AGA発症のしくみは同じ。毛母にある「メラノサイト」という細胞がメラニン色素をつくり、白髪はそのはたらきが止まることで起こる。髪の豊かな人が白髪になると目立つので、そのような迷信が生まれたと考えられる。
●「白髪を抜くと白髪が増える」
白髪はメラニン色素をつくるメラノサイトが機能しなくなってできる。その進行には個人差があるが、白髪を抜いてもその進行を止めるわけではないので、抜く数より生える数のほうが多くなるだけのこと。無理に白髪を抜くと頭皮に負担がかかり、かえって薄毛の原因に。
●「ストレスで一夜にして白髪になる」
髪の色はメラニン色素に影響されるが、頭皮から外に出ている髪の毛はすでに活動をやめた細胞であって、体内の要因で色が変わるということはない。たとえ精神的なショックを受け、メラノサイトのはたらきが止まるとしても、白くなるのはその後につくられる髪の毛だけ。
ストレスが多いか少ないか、ということとAGA発症との因果関係はありませんが、頭髪の健康のためには問題となります。
円形脱毛症の場合、精神的なストレスと脱毛の関係が深いということが知られています。円形脱毛症を起こす自己免疫疾患の引き金として、症例の2割程度がストレスであるようです。
しかしAGA男性型脱毛症の場合、基本的にはストレスと脱毛には直接的な関わりはありません。AGA男性型脱毛症がはじまるのは思春期以降ですが、30代以降の中年期で割合が増加します。その年代の男性の多くが、家庭でも職場でもストレスを抱えており、そのため「ストレスが多いとハゲる」という迷信につながったのでしょう。
しかし、過剰なストレスは確実に体に悪影響を与えます。ストレスにより、交感神経も刺激され血管が収縮します。血行は毛髪の成長にも欠かせないもの。髪の太さや伸びなどに影響し、男性型脱毛症ではなくても、脱毛しやすくなることは考えられます。
■AGAでなくても、ストレスで脱毛しやすくなる
●精神的ストレス
家族の病気や死亡、人間関係でのトラブル、恋愛、結婚、出産、育児、別居、離婚、自分の病気、体の障害、将来に対する不安、親の高齢化、介護、仕事への適応、事業の失敗、借金
●社会的ストレス
職場での対人関係、昇進、転勤、出向、単身赴任、海外出張、仕事のノルマ、残業過多、転勤、定年退職、リストラ
●肉体的ストレス
病気、体の障害、育児、仕事などからくる疲労、睡眠不足
●物理的ストレス
紫外線、気温、湿度、タバコの煙やホコリ、大気汚染などの化学的刺激、冷暖房や照明、騒音、振動などの環境的刺激、細菌やカビなどの生物学的刺激
髪の毛に有害な紫外線をさえぎる帽子は、むしろ活用したいアイテム。蒸れないかぶり方が大切です。
女性は美肌のために紫外線を敵視していますが、男性で気にしている人はそれほど多くありません。しかし、髪にとって紫外線は有害なものなのです。紫外線によって、地肌に日焼けによる炎症が起こります。また髪の毛の主成分であるタンパク質はアミノ酸が結合してできていますが、紫外線をあびるとこのアミノ酸の結合が変化し、髪の毛のツヤのもとであるキューティクルがはがれやすくなり、髪の毛から水分が奪われて乾燥による脱毛を引き起こします。
「帽子をかぶるとハゲる」などといわれますが、それでは帽子をかぶることが多い野球選手などはみんな薄くなるということになっていしまいます。紫外線をさえぎるためには帽子をかぶったほうがいいくらいです。ただ、頭皮が蒸れると脱毛の誘因になりえます。中が蒸れない風通しのいい帽子を選び、直射日光のあたらない室内では脱ぐようにする工夫が必要です。
わかめなどの海藻類が髪にいいというのは根拠のない話です。たんぱく質、ミネラル、ビタミンなどバランスのよい食事が大切です。
子どもの頃、「髪の毛にいいから」と、わかめや昆布、のり、ひじきなどの海藻類を食べさせられたという人は多くいます。また、薄毛を気にする男性が、“わらにもすがる”思いで海藻をたくさん食べるというのも、よく聞く話です。
これはまったく科学的な根拠のない迷信です。海藻を食べたからといって、髪の毛がフサフサと生えてくることはありません。一説には、昆布やひじきなどの黒に近い濃い緑色や細長い形が、日本人の理想とする「緑の黒髪」を連想させたともいわれますが、どちらにしてもまったく医学的な意味はないのです。
ただ、海藻類に含まれるヨウ素などのミネラルは髪にツヤやハリを与えるので、髪を美しく保つには効果があると考えられます。しかし、髪の毛の原料となるのはたんぱく質です。髪の毛と地肌のためには、海藻も含めたバランスのよい食事をとることが大切です。
プロペシアを服用する場合も、自己植毛手術の場合でもAGA治療は自由診断にあたるので、健康保険はききません。
AGA治療に健康保険はききません。AGAは病気ではなく、自然な生理現象だと考えられているため、自由診断とされているのです。美容外科や審美歯科、歯列矯正などと同様で、治療しないと体に障害が残るわけではないからです。自毛植毛はもちろん。内服薬のプロペシアも「生活改善薬」と考えられており、保険はきかないのです。
しかし、例外もあります。たとえば、やけどや事故でけがを負ったための瘢痕性脱毛症などでは、ティシュエキスパンダー法などに保険がきくこともあります。
自毛植毛はけっして安いものではありません。しかし、長期的に見れば、メンテナンスやつくり直しの必要なかつらや人工毛植毛と比べて安全、確実かつ割安な方法です。さまざまな選択肢を費用面で比較するときには、初期費用だけでなく、維持費を含めて考えてください。
★健康保険の対象になる場合、ならない場合
・対象にならない―AGA
病気の治療ではないため、保険はきかない。プロペシアのような薬物療法でも
外科治療でも全額自己負担となる。
・対象になる―事故
熱傷(やけど)や事故でけがをし、傷痕(瘢痕)が脱毛した場合は、保険の対象に
なることがある。
皮脂の分泌も体毛を生やすのも男性ホルモンのはたらきですが、ホルモンの量だけで脱毛が起こるわけではありません。
男性ホルモンのテストステロンには皮脂腺を増やす作用があり、これが増えると分泌される皮脂量も多くなります。男性型脱毛症=AGAは思春期以降に増加したテストステロンの作用により起こります。つまり男性ホルモンの一種である「テストステロン」が還元酵素とレセプターの存在によって「軟毛化」の原因を作っているのです。皮脂が多いから毛の成長がじゃまされているわけではないのです。頭皮の皮脂があまり多いと脱毛症を起こすこともありますが、これはAGAとは別の症状です。テストステロンには体毛やひげなどの「毛を生やす」作用もありますが、皮脂が多いというだけで薄毛になるということではないのです。
AGAが発症するかしないかを決めるのは、テストステロンの「量」ではありません。テストステロンの量が多くても発症しない場合もあるのです。
プロペシアを飲む場合も、自毛植毛手術の場合でもAGA治療は自由診断にあたるので健康保険はききません。AGAは病気ではなく、自然な生理現象だと考えられているため、自由診療とされているのです。美容外科や審美歯科、歯列矯正などと同様で、治療しないと体に障害が残るわけではないからです。自毛植毛はもちろん、内服薬のプロペシアも「生活改善薬」と考えられており、保険はきかないのです。
しかし例外もあります。たとえばやけどや事故でけがを負ったための瘢痕性脱毛症などでは、ティッシュエキスパンダー法などに保険がきくこともあります。
自毛植毛は決して安いものではありません。しかし、長期的に見れば、メンテナンスやつくり直しの必要なかつらや人口毛植毛と比べて安全、確実かつ割安な方法です。さまざまな選択肢を費用面で比較するときには、初期費用だけでなく、維持費を含めて考えるのがよいのではないでしょうか?
■健康保険の対象になる場合、ならない場合
【対象にならない=AGA】
病気の治療ではないため、保険はきかない、薬物療法でも外科治療でも全額自己負担となる。
【対象になる=事故】
熱傷(やけど)や事故でけがをし、傷あと(瘢痕)が脱毛した場合は、保険の対象になることがある。